緩急をつけた投球術を知る

スピードボールは、打者の目が慣れたらはじき返されやすいということは前述しましたが、それでも球が速いということは大切なことです。ただ、試合が進んでいけば、疲れも出てきますし、一般的にはスピードも落ちてくることが多くなります。

また、スピードが落ちてきたことを意識して、力んでしまうと、却って球そのもののキレ味がよくなくなり、打たれやすくなってしまいます。投手の工夫としては、自分の限られた能力の中で、それを最大限に示していくということも大切なことです。というよりも、例えば、スピード表示で120キロが自分の最速だという場合に、その最速を常に出せるワケではありません。

それからスピードが落ちてこれば、打者としては見やすくなりますし、タイミングも合わせやすくなってくるのは当然です。それならば、最初から、もっと自分のボールを速く見せるテクニックを磨いていけばいいということなのです。その要素として、緩急をつけるというテクニックがあります。

同じ120キロのボールにしても、110~120キロ前後でいつも来ていると、バッティングのリズムもそれに慣れてきていますから、非常に合わせやすくなってくるのは当然です。まして、ファウルなどで粘られたら、そのうちにタイミングがどんどん合ってきてしまいます。

それよりは、例えば90キロくらいのボールが来ていて、次に120キロのボールがくれば、それはそれで速く見えてしまうというものです。こうして、自分の持ち球を速く見せること、あるいは緩いボールを打たせて引っかけさせること、これが緩急をつけるということであり、スキル面とは別のピッチングのテクニックということになるのです。こうしたピッチングが出来る投手のことを技巧派と言いますが、まさに技巧派の投手がスピード日よる投手に投げ勝つということは、高校野球の試合などでもよくあることです。

一般的には「緩い球を投げるのには勇気がいる」と言われますが、確かにそうです。最初から遅いボールが来るという意識でいれば捉えられます。どのタイミングで、緩いボールを使っていくか、あるいはそれを見せられるのかという工夫は、打者を見ながら判断していくのです。また、速いボールを投げる時と、一見してフォームが異なってしまっては意味がありません。同じリズムで投げられることこそ、緩急をつけるピッチングの際の持ち味ということになります。


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